世界にはさまざまな美しい湖があり、そこにはたくさんの逸話や不思議な現象、そして危険が潜んでいます。実際に全てを観光することはなかなかできませんが、今回は世界旅行が好きな方なら、割と耳にしたことがあるかもしれない湖から、マニアでなければ知らないであろう湖まで、世界の危険な湖10選をご紹介いたします。
ニオス湖
アフリカのカメルーンにある部族を一瞬で消滅させた悲劇の湖です。ここは、爆発する湖として知られています。ニオス湖にはかつてコム族という部族がいましたが、ある日突然、湖水爆発したことにより一族は消滅したという悲しい伝承がありました。これは、ニオス湖の湖底にはマグマが溜まり、そこから大量の二酸化炭素が生まれて水に溶け込むことが原因で実際に定期的に爆発してしまうようです。1986年にも3つの村で爆発により、約1800人もの人々が亡くなったと言います。
スペリオル湖
アメリカとカナダに接する五大湖の1つであり、琵琶湖の123倍とも言われるスペリオル湖はとても美しく壮観な湖です。ここでは、実は幽霊船の目撃情報が度々あげられています。これはたまたま現地に訪れていたクルーが撮影したというもので、動画がユーチューブによって配信されています。実はスペリオル湖では、今までに6000隻以上の船が悲劇的な事故で沈没しており、延べ3万人以上と言われる犠牲者が眠る湖でもあります。この動画については幽霊船だという情報の他には、イエス・キリストが降臨しているのではないか、水上に出現した預言者モーゼなのではないか、また土地の特性を考えて蜃気楼ではないか、はたまたUFOではないだろうか、というさまざまな憶測がなされています。
カラチャイ湖
ロシアの美しく静かな山脈の中で、そっと佇むカラチャイ湖は都会の騒音や人々の気配もなく、ゆったりとしたまるで時間の止まったような場所です。ここは何年にもわたり、旧ソ連が放射性廃棄物を投棄し続けてしまった、世界で最も汚染されてしまった場所にランクインしている湖なのです。ここには健康な人間が1時間いるだけで被爆し命を落とすと言われている殺人湖です。これは1957年に起こったマヤーク原子力施設の爆発事故が原因とも言われており、現地の人々は癌や白血病、または先天性欠陥などの奇形に悩まされています。放射能に汚染された場所となってしまったのです。
千鳥湖
お隣の中国の杭州市にある人気のダイビングスポットにもなっている湖です。ここは水底古城とも言われており、まるでジブリ映画にも出てきそうな数百年の歴史を持つ2つの古城が眠る湖です。ここは約1000以上の島々が存在する湖でもありますが、その下には、かつてはライオンシティと言われた中国の経済を支えていた大都市がありました。中国の政府が水力発電ダムを建設することで都市全体を水の底に沈めたのです。さまざまな人々の生活や思いが当時のままの状態で沈む、人為的につくられた湖です。
イジェン湖
危険なことで有名な湖で、インドネシアのカワイジェン火山の中に位置する、別名「死の湖」というとても不吉な名前でも呼ばれ、深い青緑色の湖水は一見ただのきれいな湖なのですが、実際は超高濃度の硫酸でできた湖であり、強酸性であることが湖水の色にも影響しています。水上からは湯気のような蒸気が上がっており、これは実は有毒ガス。イジェン湖は水を浴びても即死。蒸気を吸い込んでも即死という、まるで呪われた湖そのものなのです。この湖もまた周辺で生息することはどんな生物でも不可能だと言われています。また、夜には神秘的な青い溶岩が有名です。命知らずのカメラマンたちには、撮影の際ガスマスクが必須だそうです。
バイカル湖
世界最高クラスの透明度と言われるロシアのバイカル湖は、美しくとても神秘的。別名「シベリアの真珠」とも称され、世界最古の湖としても有名です。その水深は1643メートルもあり、世界一の深さでもあります。バイカル湖は冬の間の5ヶ月間は完全に凍結し、春先になると氷が解けて立ち上がります。この湖はとても悲しい湖として知られ、2011年にプレジャーボートに乗った乗員4名が突然に姿を消しました。その後、いくら捜索しても見つからず、過去には20世紀のロシア革命で25万人もの亡命者がこのバイカル湖で凍死しているという人類史上最悪の大量凍死の湖でもあるのです。
ボリット湖
パキスタンにあるボリット湖は、発展途上国ならではの恐ろしい湖です。なぜならここには、世界一怖いと言われる橋が架かっているからです。この橋は、綱とぼろぼろの木の切れ端でできています。アドベンチャー映画にでも出てきそうなこの橋の何より恐ろしいところは、今現在でも現地の人や怖いもの見たさで訪れた観光客たちが渡っている、ということです。命がけで渡るこの橋から落ちた人々をのみ込む大きなボスリット湖には、過去どのくらいの犠牲者がいるかは不明です。
ヴィクトリア湖
世界一危険、と有名な湖です。淡水湖としては世界第2位の大きさですが、ウガンダ、タンザニア、ケニアという広大な国々に囲まれたこの湖はアフリカ最大級であり、ナイル川の源流です。約80以上の小さな島々が浮かぶこの湖では、毎年5000人以上もの人々が命を落としています。この湖は赤道直下であるため、水温が高く強烈な嵐が度々起こります。この変わりやすい天候と、未発達な現地の通信インフラにより人々は災害を防ぐことができずに、嵐のたびに、はかない命を失っています。
ソルトンシー
アメリカにある、名前どおりの塩湖です。1960年代までは、とても有名なリゾート地であり多くの観光客が訪れ、とても栄えていました。このソルトンシーの周りは砂漠であり、元々は水に無縁な土地であったのですが、コロラド川が度々決壊することにより徐々にできあがった湖であり、カルフォルニア最大の当時は淡水湖と認識されていたようです。しかし、この土地は水の逃げ場がなく湖はいつしか巨大な水溜りと化していき、塩分濃度が上がることにより有害バクテリアが異常発生し、農業廃水が溜まり、生き物が棲むことができない死骸だらけの湖となってしまいました。観光地としても廃れてしまい、今がゴーストタウンと化しているようです。
ウユニ塩湖
ボリビアにあるウユニ塩湖は、とても幻想的でこの世のものとは思えないほど美しい景色を生み出す湖です。そこは地球唯一の天然プラネタリウムとまで絶賛されるほどです。死ぬまでに一度は行ってみたい絶景ランキングにも入る美しい湖ですが、実はとても深刻な環境汚染問題があり、それはそんな絶景を見に訪れた観光客が捨てていった大量のプラスチックのごみが山積みとなり、観光車両が土だらけのタイヤで湖内にまで進入し、水質を汚染していくことで広がっているようです。美しい光景だと騒ぎ立て、それを自ら破壊していく人間の危険な嗜好が、はかなく幻想的な風景を破壊していく切ない湖です。