日本近海のレアアースは本当?掘れない理由と「嫉妬で止められる説」を整理する

「日本の近海にレアアースが大量にある」という話を聞いて、半信半疑になった人は多いと思う。結論から言うと、この話は事実ベースで語られている部分が大きい。

ただし、話がややこしくなるのはここからだ。たとえ日本近海に資源があっても、「日本が好きに掘ればいい」とはならない。技術・費用・環境・国際政治という複数の壁が重なっている。この記事では、レアアースが日本近海にある話の概要と、なぜすぐ掘れないのか、そして「世界が嫉妬して掘らせないのでは?」という視点がどこまで現実的かを整理する。

日本近海のレアアースは本当なのか

日本近海のレアアースは「都市伝説」ではなく、研究の中で注目されてきたテーマだ。一般に話題にされるのは、南鳥島周辺などの深海底に堆積する「レアアース泥(深海堆積物)」である。

ここで重要なのは、一般的な鉱山のように「岩を掘る」タイプではなく、「泥として存在する」という点だ。理屈の上では、岩石を粉砕して処理するよりも回収・分離が有利になる可能性がある。とはいえ、現実の採掘は別問題で、次の章のような大きなハードルがある。

「近海だから勝手に掘れる」のか?海のルールを整理

海には国際的なルールがあり、場所によって権利関係が変わる。「日本の海」と一言で言っても、扱いは同じではない。

  • 領海(海岸から12海里):主権が及ぶ範囲で、日本が強い権限を持つ
  • EEZ(排他的経済水域:原則200海里):資源開発などについて日本が排他的な権利を持つ
  • EEZ外の深海底(公海側):国際機関や国際ルールの関与が大きくなる

日本近海のレアアースの多くはEEZ内の議論として語られることが多い。EEZ内なら日本に資源開発の権利があるのは大きいが、それでも「好き勝手に掘れる」という意味ではない。

なぜ今すぐ掘らないのか:技術・費用・環境の3重壁

「掘れば日本は豊かになるのに、なぜ掘らないのか?」という疑問は自然だ。現実的な理由は大きく3つに整理できる。

1. 深すぎる(超深海の技術ハードル)

深海底の資源は、水深数千メートル級になることが多い。機材を降ろすだけでも大事業で、海底で泥を回収し、船上まで揚げ、さらに分離・精製する一連の仕組みが必要になる。海底は「修理に行けない現場」なので、装置の信頼性も極端に求められる。

2. 採算(商業化のラインが厳しい)

採掘・揚泥・分離・精製・輸送という工程のどこを取ってもコストが高い。資源は「ある」だけでは意味がなく、「安定供給できる価格で出せるか」が勝負になる。採算性が固まるまでは、段階的な実証や試験になるのは当然だ。

3. 環境(世界の目が極端に厳しい)

深海は未知が多く、攪乱した環境が元に戻るのに非常に長い時間がかかる可能性がある。たとえEEZ内でも、環境影響評価や説明責任を避けることは難しい。ここが「国際政治」と絡むポイントにもなる。

「世界が嫉妬して掘らせない」のか?この説はどこまで現実的か

結論として、「嫉妬だけで止める」という単純な話ではないが、国際政治・利権・供給網の支配が絡むため、外圧がかかる構造は十分にあり得る。

レアアースは“強すぎる資源”になりやすい

レアアースはEV、風力、半導体、精密機器、さらには軍事用途にまで関わる。つまり、単なる資源ではなく「戦略物資」だ。供給が偏っているほど、資源を持つ側は交渉力を得る。逆に、依存する側はリスクを抱える。

「環境」はブレーキとして使われやすい

本音が利権や地政学でも、表向きは「環境保護」で止める方が正当化しやすい。深海採掘は世界的に議論が割れており、世論を味方につけるための材料にもなりやすい。

日本は外圧が効きやすい性格がある

国際世論や対立を避ける傾向が強い国は、批判や反対キャンペーンの影響を受けやすい。技術的に可能になっても、政治判断で慎重になる余地が残る。

その一方で、依存リスクの分散という観点から、同盟国側が「日本の供給能力を歓迎する」方向に動く可能性もある。つまり、妨害と支持が同時に起こり得る領域であり、ここがこのテーマのリアルな難しさでもある。

「掘れない」ではなく「段階的に掘る(もしくは温存する)」という見方

まとめると、現状は「日本が掘れない」よりも、「すぐに大規模商業化するとリスクが重い」ため、実証や技術確立を優先し、状況を見ながら段階的に進める、またはカードとして温存する判断になりやすい。

資源は“持っている”こと自体が交渉材料になる。実際に掘って市場に出す前でも、供給網や外交カードとしての価値が発生するのが戦略物資の特徴だ。

まとめ

  • 日本近海のレアアースは、研究で注目されてきた「レアアース泥」などが背景にある
  • EEZ内でも「好き勝手に掘れる」わけではなく、技術・採算・環境が大きな壁になる
  • 「嫉妬で掘らせない」は単純化しすぎだが、国際政治・利権・環境論争が絡むため外圧は現実に起こり得る
  • 現実的には「掘れない」ではなく、段階的に進めるか、戦略カードとして温存する発想が強くなる

このテーマは「資源の話」であると同時に、「技術」「環境」「外交」の話でもある。だからこそ、ニュースで断片的に触れられるだけでは全体像が見えにくい。冷静に構造を整理すると、いま日本がすぐ掘らない理由も、そして“掘れるようになった時のインパクト”も、よりリアルに見えてくる。

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