「昔(昭和のころ)は、多少寒くても薄着の方が健康になる」といった話を聞いたことがある方も多いと思います。たしかに、軽い寒さに慣れることが体にとってプラスになる場面もあります。
しかし、医学的な観点では結論はシンプルです。
寒いと感じるなら、我慢せず上着を羽織った方が健康に良い——これが基本方針になります。
なぜ「寒いなら着る」が医学的に正しいのか
1. 体温を保つことは健康の土台
人の体は、体の奥の温度(深部体温)を一定に保つことで、臓器や免疫の働きを正常に維持しています。ところが寒さを感じる状況が続くと、体は体温を守るためにエネルギーを使い、血管を収縮させるなどの反応を起こします。
このとき起こりやすいのが、手足の冷えや血流の低下です。血流が落ちると、体の防御機能(免疫)に関わる働きも低下しやすくなり、結果として風邪などの感染症にも弱くなる可能性が高まります。
2. 「寒い」は体からのサイン(すでに防御反応が始まっている)
「寒い」と感じるのは、単なる気分ではなく、体が環境に対して警戒しているサインです。人によっては、寒い場所にいると鼻水が出たり、手先が冷たくなったりしますが、これも体を守るための反応の一部です。
この段階で無理に薄着で耐えるメリットは少なく、むしろ体への負担が増えてしまうことがあります。
3. 昭和の「薄着が健康」は前提が違う
昭和の薄着健康論は、子ども向けの生活指導として語られることが多く、「少し涼しい」程度の刺激で生活リズムや自律神経を整える、といった考えが背景にあったと言われます。
ただし、そこには「寒いと感じるほど我慢する」という前提は含まれていないことが多く、現代の生活環境とは条件も異なります。
現代の生活は「冷え」に弱くなりやすい
現代は、冷暖房による温度差が大きく、さらにデスクワークなどで筋肉量が落ちやすい生活になりがちです。筋肉は熱を生み出す重要な器官でもあるため、筋肉量が少ないと冷えやすく、寒さが体調に影響しやすくなります。
そのため「昔は平気だったから」と同じ感覚で薄着を続けるより、体の反応に合わせて調整する方が合理的です。
判断基準は「涼しい」か「寒い」か
寒さ対策は難しく考える必要はありません。目安としては次のように考えると分かりやすいです。
- 「涼しい」:そのままでもOK(軽い刺激として問題になりにくい)
- 「寒い」:上着を羽織る(体が冷え始めているサイン)
- 「震える」:すぐに防寒(体温維持が追いついていない状態)
上着を羽織るときに意識したいポイント
防寒というと厚着をイメージしがちですが、「寒い」と感じたタイミングで軽く調整するだけでも効果があります。
- 首元(マフラー・ネックウォーマーなど)を守る
- 足首・手首など冷えやすい部分を温める
- 薄手の羽織りを1枚持っておく(温度調整がしやすい)
まとめ:寒いなら我慢せず、体の声に従う
「薄着が健康」という考え方は、状況によっては一理ありますが、現代の医学的な考え方としては、次の結論が基本になります。
寒いと感じるなら、上着を羽織った方が健康に良い。
無理に我慢して体を冷やすより、体温を安定させて血流と免疫の働きを保つ方が、日々の体調管理としては合理的です。迷ったら「今、寒いと感じているか?」を判断基準にしてみてください。