昔は目覚まし時計といえば、時計にアラーム機能が付いている貴重品でした。
なぜなら朝の起床時間を音で知らせて音で起こすという点が一石二鳥だからです。
そして現代における目覚まし時計は進化を遂げ、好きな音楽で起こすことが可能であり、起こす音の量を調節でき、振動で起こす機能、二度寝を防止する機能などが付いています。
しかし、肝心な時計の役割を忘れているようにも思えます。
というのも例に挙げた機能は全て人間を起床させることを目的として作られているからです。
つまり、音で通知させる機能と音で起こす機能が常に併用されているのです。
では、どのような機能が忘れられているのでしょうか。
それは音で時間を通知させるだけの機能です。
つまりアラームではなくアラートなのです。
実際にAndroidアプリのストアで「アラート」として検索してみると、なかなかアラート単体のアプリが見当たりません。
なかにはアラートが付いていても主機能がアラームというものも多くあります。
つまり、それほど多機能でないと商品として成立しない時代なのです。
他にもラジオを例にとると昔は単にAMとFMが聴けるだけで十分でした。
ところが近頃ではテレビラジオといってTVの音声も聞けるラジオがあったり、録音可能であったり、インターネットにつなげてラジオをオンデマンドで楽しめたりする機能などがあります。
このように、顧客が要求しているものに対して付加価値が非常に多くなりました。
付加価値が多いとそれなりに便利なように感じられますが、ある意味では余計な機能ともとれます。
例えば、目の不自由な方が様々な機能のついた目覚まし時計やラジオを渡されたら困惑するでしょう。
また、多くの機能が付いているだけに使いこなせないという不安も強くなります。
また、単体で機能するものがあればそれだけでバリアフリーにもつながります。
例えば、アラート機能では目や耳の不自由な人に対して時間だけを通知してくれます。
また、単体ラジオでは機械に慣れていない人でも、触っただけで動作が理解できるようになります。
この他にも、電話機や腕時計、定期入れなどにもシンプルさを追求すればより幅広い層からの顧客を獲得できるでしょう。
真っ先にアラート機能を紹介したのは、盲目の方向けに注文があるなかでなかなか思うようなスマートフォンアプリが見当たらなかったためです。
多機能とシンプルは正反対の意味を成す言葉ですが、どちらもニーズがあることを忘れないで欲しいと思います。