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53.不死身になる10の方法


53.不死身になる10の方法

永遠に生きたいと願ったことはありますか?科学の発展によって人の平均寿命は飛躍的に延びました。今後20年でもっと積極的に寿命を延ばす技術が開発され、永遠の命も夢ではなくなると言います。どうせ怪しげな方法だろうとお思いでしょう。そんな方のために、現在科学者によって大真面目に開発中、または運用中の技術を10例ご紹介します。

ヴァンパイヤ療法(GDF11)

若者や子供の血を尊び、飲んだり輸血したりする文化は古くから世界中に存在します。若い血液が脳を活性化させ、記憶や学習能力を改善することは、現在科学的に証明されています。また、最近ハーバード大学の研究チームによって、血液中のGDF11というたんぱく質が、脳や筋肉を若く保つ役割を果たすこともわかりました。この若返りたんぱく質は、若い個体の血液中には多くありますが、年を取るにつれて減少します。実験はマウスを対象に行われましたが、人への応用が可能になれば、近年中に人の寿命や健康に関して飛躍的な改善がもたらされるでしょう。

バクテリア注射(バシラスF)

モスクワ大学の凍土地質学部、学部長のアナトリー・ブロチコフは350万年前からシベリアで生き続けてきたバクテリアを自らに注射し、その結果、体は健康になり活性化されたと発表しました。ブロチコフによると、このバシラスFというバクテリアのDNAと遺伝子には、老化を積極的に治療する能力があります。バシラスFは2009年、ロシア連邦サハ共和国のマンモスの山と呼ばれる永久凍土で、生きた状態のまま発見されました。350万年生き抜いたバクテリアは、科学界で大きな注目を集めました。ブロチコフほど過激でなくとも、マウスやミバエを対象に様々な実験が行われ、現在その長寿や繁殖力について解明されつつあります。

遺伝子操作

Googleが設立したカリフォルニア・ライフ・カンパニーの科学者シンシア・ケニオンは、daf-2と呼ばれる遺伝子のはたらきを部分的に無効にすることで、普通より10倍長く生きる線虫を作りました。人においても、このdaf-2の遺伝子は老化の促進に関係しているらしく、100歳まで生きている人のdaf-2は突然変異を起こしていることが多いそうです。ケニオンによれば、実験のような分子レベルの操作を人で応用できれば、人も永遠の若さを手に入れることができます。

Alk5阻害剤

老化の原因の一つに、TGF-β1という成長因子が、幹細胞の修復能力を制限することが挙げられます。TGF-β1は加齢に伴って余分に生成され、そのため老化が促進されます。カリフォルニア大学バークレー校の研究チームは、Alk5阻害剤がTGF-β1を抑制し、結果として脳や筋肉組織を若返らせる効果があることを発見しました。実験はマウスを対象に行われましたが、今後、人を対象とした研究が進むことが期待されます。実用化されれば、年を取ってもアルツハイマーのような老齢に関連した病気の発症が抑えられ、健康な生活ができるだけでなく、医療費の大幅な削減にも繋がります。

細胞の再プログラム


血液や骨髄の移植というのは、少ないドナーの中から適合する型を探し出さなければならず、準備の段階で大変な時間と労力を必要とします。そのため、移植に適した造血幹細胞をつくることは、以前から再生医学の大きな課題の一つでした。2014年、ハーバード幹細胞研究所のグループが、マウスの成熟した血液細胞を造血幹細胞に再プログラムすることに成功しました。これは、血液を細胞レベルで元の形にまで若返らせたと言えます。この実験もマウスを対象に行われている段階ですが、人への応用も夢ではないと期待されています。

医療用ナノロボット


細胞レベルの小さな機械のことをナノロボット、またはナノボットと言います。長年、ナノロボットはSFの世界の話とされていましたが、2016年、カナダの研究チームが血液細胞レベルの医療用ナノロボットを開発したと発表しました。そのナノロボットは血液中を移動し、腫瘍のみを正確に狙うことが可能だと言います。今後開発が進めば、血液中のナノロボットによって、酸素の効率的な管理が可能になるかもしれません。つまり、人が何十分も全力疾走したり、何時間も海に潜ったりするのも夢ではなくなるのです。また、怪我をしたときに自分の細胞の力だけで即座に治すことができ、さらには加齢による細胞の衰えを治すだけではなく、若返らせることもできるでしょう。

肝臓移植(人工臓器)


ナノテクノロジーの発達によって、この20年で様々な臓器移植が可能になりました。誰もが聞いたことがあるペースメーカーや、糖尿病治療に効果的な携帯型の人工膵臓など、人工臓器の開発も着実に進んでいます。すべての臓器の完璧な人工物ができる日も遠くはないでしょう。そうすると、内臓をぜんぶ入れ替えることも可能になります。どこかが故障したら、医者に行って部品を取り換えるように臓器を取り換えればいいわけです。壊れても繰り返し新しい臓器を移植し、待っていれば、そのうち永遠に正常に機能し続ける臓器の登場を見ることができるかもしれません。

サイボーグ化


サイバネティック・オーガニズム、通称サイボーグは生命体と生物機械工学的な部品との融合体を指します。サイボーグ技術は、もはやバイオニック人間がSFではないと言えるまでに発展しています。未来には体の様々な器官を生物学的なコピーではなく、機械的なコピーに取り換えるようになるかもしれません。そして、ほとんど無敵で永遠的に生きる超人的なサイボーグが地球上を闊歩するようになるのです。

脳をアップロード


2014年、アメリカ在住のオランダ人で神経科学と神経工学の専門家ランダル・コエーヌは、脳の情報を写し取り、数値化してコンピューターに保存・再現する技術、つまり脳をコンピューターにアップロードする技術の構想を発表しました。まるで、ジョニー・デップ主演のSF映画のようですが、コエーヌに限らず神経科学者の多くは人の記憶や感情、意識はシナプスからシナプスへ飛ぶ電気化学的信号の集合に過ぎないと考えています。コンピューターのプログラマーによって、すでに人工の神経ネットワークは作られています。AIが個々の情報を結合させ、パターン認識を通じて学習することも可能になりました。ただし、人の脳ほど複雑な活動はできず、完全な人工脳が現れるのはまだ先のようです。

人体冷凍保存


ここでご紹介する冷凍保存とは、冷凍庫に魚を放り込んでおくようなものではなく、人や動物を超急速凍結、いわゆるガラス化して腐敗しないように保存する技術のことです。これは、体を保存して医学の発達した未来に病気の治療を託したいという考えから生まれました。1962年から始まったこの技術によって、現在まで200人ほどが凍結されています。ちなみにこの技術が施されるのは、医師により正式に死亡したと認められた人に対してだけです。現在の技術では、保存されている人を蘇生させることはできません。しかし、いつか解凍技術が発明され、好きなときに好きなだけ凍結されて未来に生きるなんてこともできるかもしれませんね。