43.世界の衝撃的なフェスティバル10選
世界には愉快で刺激的な人々が満ちています。その証拠の1つにお祭りが挙げられるでしょう。今回は世界中の人々が足を運ぶ、最も美しく刺激的なフェスティバルをご紹介します。古代、中世好きやコスプレ好きにもおすすめのリストです。
カルテンべルク騎士トーナメント(ドイツ)
ミュンヘンの西、ゲルテンドルフの村の隣に、カルテンベルク城という13世紀に建てられた古城があります。1979年、バイエルンのルイトボルト王子がここで中世騎士の祭りを開催しました。その後、毎年7月、城と村を舞台に祭りが開催され、200人を超える貴族に貴婦人、甲冑に身を固めた騎士が集合し、現在では世界最大の中世騎士の祭りになっています。祭りのハイライトは馬上槍試合で、甲冑を着た騎士たちが馬にまたがり長い槍で相手を突き落とし合う、という戦いです。競技場では大掛かりな劇も行われます。悪の暗黒騎士たちが女王を誘拐し、正義の騎士たちが立ち上がって両者が激突する場面は圧巻です。
ヴェネッツィア・カーニバル(イタリア)
仮面で有名なヴェネッツィア・カーニバルは、毎年2月下旬頃、灰の水曜日の前日から2週間にわたって行われます。祭りの起源は1162年、当時絶大な権力を奮っていたアクイレイアの総代主教にヴェネッツィアが抵抗、勝利したことと言われています。祭りの間、町にはヴェネッツィアンマスクを着けた市民や旅行者、バンドや大道芸人があふれます。運河には色とりどりの舟が浮かび、夜はあちこちでパーティーや仮面舞踏会が開かれます。
グランド・フォコニエ中世祭り(フランス)
ミディ・ピレネーの小高い丘にあるコルド・シュル・シエルは13世紀に築かれた街で、今も中世の街並みを残しています。毎年7月に行われる祭りは、街全体が会場になっていて、中世の衣装に身を包んだ住民や観光客で賑わいます。野営地には騎士たちが集い、鷹匠が自慢の腕を披露し、街角では鍛冶屋、製本屋、刺繍屋が働いていて、まるでタイムトラベルした感覚に陥ります。中世の長い坂で行われるパレードは必見です。他にも中世風の市場や夜会など、衣装を着て参加したいイベントが盛りだくさんです。
ジャイサルメールの砂漠祭り(インド)
タール砂漠の黄金に輝く街、ジェイサルメールは、12世紀ラーワル・ジャイサル王によって建設されました。伝説によると、王の栄華はインドの神クリシュナによって予言されていました。予言の成就を祝って人々は祭りを行い、それが現在の砂漠祭りの起源になったと言われています。祭りは毎年2月、満月の3日前に行われ、中世の街は目がくらむような色彩や音楽、笑い声に包まれます。人々は色とりどりの衣装を着てダンスやパレードを楽しみます。ラクダのポロなど珍しい競技が行われることでも知られています。
ローマ人とカルタゴ人の祭り(スペイン)
スペイン南東の地中海に面する美しい街、カルタヘナは、紀元前3世紀にカルタゴの将軍によって築かれました。紀元前219年からカーニバル戦争の名で知られる第二次ポエニ戦争が勃発し、209年カルタヘナの街はローマ軍に敗れ、征服されました。1990年に始まった祭りは、その2200年昔の出来事を記念して毎年9月に行われます。祭りの間は毎日カーニバル戦争を題材としたイベントが開かれています。普段温厚なカルタヘナの住民たちが古代の衣装を身にまとい、武器を取って激しい戦闘場面を再現します。ローマ人が荒々しく舟で港に乗り込んできて侵略を開始する場面は、一見の価値があります。
インティ・ライミ(ペルー)
インティ・ライミ、別名太陽の祭りは、もともとインカ帝国で行われていた太陽の神インティに捧げる宗教的な儀式でした。インティ・ライミとは、太陽の復活とか太陽の道、という意味です。儀式は16世紀にカトリック教会によって禁止されましたが、20世紀に祭りの形で復活し、冬至、すなわち6月の下旬に行われています。祭りはアンデスの様々な町で行われています。中でも有名なのは、インカ帝国の都、クスコ近くで行われる儀式でしょう。祭りに先立って、3日間の断食が行われ、火の使用が禁止になります。祭りの初日は動物のいけにえを捧げて豊作を祈り、それから9日間、人々は 華やかな衣装や独特な仮面をまとって思う存分宴会を楽しみます。
ホーリー(インドやネパール)
色彩の祭典として知られるホーリーは、ヒンドゥー教の春の祭りで、毎年3月の満月に行われます。1日目の夜、人々は焚き火をしてヒンドゥー教にまつわる歌などを歌い踊ります。2日目の朝になると、人々は街に出てバケツや水風船、水鉄砲を手にカラフルな粉や水をかけ合います。悪霊を払う為と言われますが、観光客でも参加できます。この祭りの間は無礼講で、上下の身分や性別の違い、年齢の差も関係ありません。
中世バラ祭り(ギリシア)
14世紀、聖ヨハネ騎士団によって建設されたロドスの中世都市は、ユネスコの世界遺産に登録されています。壁に囲まれた旧市街は数百年間変わっていないと言われています。そんな街で2006年から毎年5月に開かれている中世バラ祭りは、騎士団が活躍していた時代の雰囲気を感じる絶好の機会です。1番人気はもちろん赤の衣装の騎士たちのパレードです。しかし、この祭りの最大の魅力は参加者がどんな身分にもなれることかもしれません。勇敢な兵士や騎士になるのもよし、陽気な農民や商人になってのんびり中世の街を散策するのも楽しいでしょう。
ランタンフェスティバル(台湾)
台湾では、旧暦の1月15日、人々がランタンを持って邪気払いをする風習があります。1990年から数千個のランタンを空に飛ばす祭りが始まり、毎年会場を変えて行われています。会場には、飛ばす為のランタンだけではなく、その年の干支にちなんだランタンや龍や恐竜、パンダなどを模した巨大ランタン、歴史上の出来事を表現したランタンのオブジェも飾られます。幻想的な光の中で台湾の屋台や伝統芸能を堪能し、それから空に一斉に飛んでいくランタンを見て、新たな一年を始めます。
ウップ・ヘリー・アー(スコットランド)
ラーウィックの街があるシェットランド諸島は、1468年にスコットランドに吸収されるまでは勇猛な海の民族バイキングが統治していました。現在ラーウィックでは、毎年1月の最後の火曜日、バイキングを記念して火の祭典が開催されます。祭りの間、街には伝統のウップ・ヘリー・アーの歌が響き渡ります。バイキングの子孫を誇る人々は、羊の皮で作った戦闘服を着て、斧と盾、荒削りの松明を持ち、街を行進します。先頭は首長とその一団、後ろにはドラゴンの頭が付いたロングボートが続きます。夜になると、人々は松明を掲げて巨大な舟を燃やし、炎を上げて崩れる舟を見ながらレクイエムを歌います。