ボイジャー1号はなぜ今も飛び続ける?動力(推進・電力)・通信遅延・衝突しない理由をわかりやすく解説

「ボイジャー1号って、どうやってそんな遠くまで進んでいるの?」「燃料はいつまで持つの?」「地球から離れるほど通信は遅れるの?」「隕石とぶつからないのはなぜ?」――宇宙探査機の話を聞くと、こうした疑問が次々に湧いてきます。ボイジャー1号は1977年に打ち上げられた、いわば“昔のマシン”です。それにもかかわらず、今なお太陽系の外側(恒星間空間)へ向けて飛び続け、地球へデータを送ってきました。

この記事では、ボイジャー1号が進み続けられる理由を「推進力(前へ進む力)」「電力(観測や通信に必要な電気)」「通信のタイムラグ」「隕石などとの衝突リスク」「古い機械なのに長持ちする設計思想」という5つの視点から、できるだけわかりやすく整理します。WordPressにそのまま貼り付けられるよう、本文はHTMLでまとめています。

1. ボイジャー1号の“動力”は何?実は今は推進していない

まず多くの人が誤解しやすいポイントが「動力=推進力」と「動力=電力(電気)」が混ざってしまうことです。結論から言うと、ボイジャー1号は今この瞬間、ロケットのように噴射して前へ進んでいるわけではありません

ボイジャー1号が高速になれた大きな理由は、打ち上げロケットに加えて重力アシストと呼ばれる方法です。木星や土星など巨大な惑星の近くを通過すると、惑星の重力を利用してスピードや軌道を大きく変えられます。ボイジャー1号はこの重力アシストを活用して、太陽系の外側へ向かう速度を獲得しました。

そして現在は、宇宙空間がほぼ真空であることが大きく効いています。地球上の乗り物は空気抵抗や路面摩擦などで速度が落ちますが、惑星間空間は摩擦がほぼありません。そのため、一度得た速度は簡単には失われず、エンジンを噴かなくても慣性(惰性)で進み続けることができます。つまり、ボイジャー1号が進み続ける直接の理由は「燃料で加速しているから」ではなく、1970年代に得た速度を抵抗のほとんどない空間で保持し続けているからなのです。

2. 電力はどうしている?太陽光ではなく“原子力電池(RTG)”

推進はしていないとはいえ、ボイジャー1号が観測し、通信し、機器を動かすためには電気が必要です。では、その電気はどこから来るのでしょうか。ポイントは、太陽光パネルではないということです。太陽から遠く離れるほど太陽光は弱くなり、太陽電池では必要な電力を確保できません。

ボイジャー1号が使っている電源はRTG(放射性同位体熱電気転換器)と呼ばれるものです。ざっくり言えば「放射性物質が出す熱を利用して発電する装置」です。中にはプルトニウム238などの放射性同位体が入っており、自然に崩壊する際に発生する熱を電気へ変換します。

RTGの強みは、太陽光がほとんど届かない場所でも電力を供給できること、そして構造が比較的シンプルで可動部が少なく、長期運用に向くことです。一方で弱点もあります。放射性物質は時間とともに崩壊が進み、発熱量が少しずつ減ります。つまり発電量は年々低下します。そのため、長期間の運用では観測機器を段階的に停止し、重要な通信や最低限の機器に電力を回す“節電運用”が必要になります。

3. 地球から離れるほど通信のタイムラグが増えるのは本当?

これは完全に本当です。電波は光速で進みますが、光速といっても無限ではありません。ボイジャー1号が地球から遠く離れるほど、通信には避けられない遅延が生まれます。

イメージしやすくするために考え方だけ整理すると、タイムラグは「距離 ÷ 光速」で決まります。ボイジャー1号は地球から非常に遠いため、指令を送って届くまでに何十時間という単位の時間がかかります。さらに、探査機が受信して返信したデータが地球へ戻ってくるにも同じだけ時間がかかるので、往復のやり取りだと数日単位になります。

このため、地上からボイジャー1号をリアルタイム操作することは不可能です。ゲームのように「今、左に曲がれ!」と指示して即座に反応が返ってくる世界ではありません。運用側は、事前に計画したコマンドを送信し、翌日以降に結果を受け取って評価し、必要ならまた次のコマンドを送る、という非常にゆっくりしたやり取りになります。

4. 隕石と衝突しないのはなぜ?避けているの?

ここも誤解が多いところです。映画の影響で、宇宙には隕石が密集して飛び交っているようなイメージを持つ人がいます。しかし現実の惑星間空間は、想像以上に“スカスカ”です。もちろん小さな塵や微粒子は存在しますが、宇宙は広大で、探査機のサイズは相対的にとても小さいため、致命的なサイズの物体と衝突する確率は極めて低くなります。

さらに重要なのは、ボイジャー1号は自分で隕石を探して避けるような装置を基本的に持っていないという点です。現代の高性能な衛星や探査機でも、遠方の微小天体を自動検知して回避するのは簡単ではありません。まして1970年代設計のボイジャー1号に、現代の自動運転車のようなセンサー網やAI回避機能があるわけではありません。

つまり「ぶつからない」のは、回避能力がすごいからというより、当たる確率が天文学的に低いからです。塵レベルの微粒子が当たる可能性はゼロではありませんが、探査機が耐えられる範囲であることが多く、運用上は確率的に受け入れている、というのが実態に近いでしょう。

5. 1970年代のマシンなのに、なぜ今も動くのか?“長寿命設計”の考え方

「昔の機械なのに壊れないのが不思議」という疑問ももっともです。現代のスマホやPCは数年でバッテリーが劣化し、OSの更新が止まり、故障も増えます。しかし宇宙探査機は、そもそも修理に行けない前提で設計されています。そのためボイジャー1号のような探査機は、地上の家電とは設計思想が違います。

長寿命の理由として大きいのは以下の3点です。

(1)構造とソフトが比較的シンプル

複雑なGUIや巨大なOS、常時ネット接続、数え切れないアプリ……といった現代的な複雑さがありません。シンプルなシステムはバグや故障の原因も減り、長期運用に向きます。

(2)冗長設計(バックアップ)

重要な系統は二重化され、片方が故障してももう片方へ切り替えられるように作られています。これにより「壊れたら終わり」ではなく「壊れても運用を続ける」余地が生まれます。

(3)宇宙環境を前提とした耐久性

宇宙は放射線、極端な温度変化、真空など過酷な環境です。探査機はこれらを前提に、部品選定や設計の段階で堅牢性を重視します。結果として、性能は高くなくても“壊れにくい”機械になります。

もちろん無限に動くわけではなく、電力の低下や機器の劣化は避けられません。それでも、設計思想そのものが「数十年生き残るための機械」になっているため、1970年代の技術でも驚くほど長く稼働してきたわけです。

6. まとめ:ボイジャー1号の疑問を一気に整理

最後に、今回のポイントを短くまとめます。

  • 前へ進む力(推進力):現在は噴射していない。重力アシストで得た速度を慣性で維持している。
  • 電力:太陽光ではなくRTG(放射性同位体の熱で発電)で、年々出力が下がるため節電運用。
  • 通信のタイムラグ:距離が増えるほど遅延が増え、リアルタイム操作は不可能。コマンド送信と結果確認は超スローペース。
  • 衝突しない理由:宇宙は非常にスカスカで、当たる確率が低い。自動回避システムが優秀だから避けているわけではない。
  • 古い機械なのに動く理由:シンプル設計・冗長化・宇宙環境前提の堅牢性によって長期運用が可能になっている。

ボイジャー1号は「最新の高性能マシン」ではなく、「壊れにくく、少ない電力で、遠隔運用できるように作られた長寿命マシン」です。推進力がなくても進み続けられる宇宙の物理と、太陽系外でも電気を生み出すRTG、そしてリアルタイム操作ができないほど遠くからでも運用を続ける設計思想が組み合わさって、半世紀近い運用が実現しています。宇宙探査のすごさは、派手な演出ではなく、こうした“地味に強い設計”にこそ宿っているのかもしれません。

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